湘南のクラフトビールでおしゃれに乾杯!~熊澤酒造へ行こう!~ – Guidoor Media | ガイドアメディア

湘南のクラフトビールでおしゃれに乾杯!~熊澤酒造へ行こう!~

中心に紺色の背景に白字で熊沢酒造の文字。左は夕暮れ時の湘南の海。右は瓶に入った湘南ビールがテーブルに置かれている。

湘南の波に乗るサーファー、潮の香り漂う美しい海、そしておしゃれな街並み。湘南と聞くと、多くの人が心躍らせる理想的なリゾート地を思い浮かべることでしょう。

しかし、湘南には美しい風景だけでなく、クラフトビールの魅力が隠されています。その中でも名高い「熊澤酒造」は、湘南を代表するクラフトビールの蔵元として、数々の賞に輝くビールを醸造しています。

この記事では、熊澤酒造の歴史やクラフトビールづくりの舞台裏に迫り、彼らの情熱が生み出す湘南ならではのビール文化に触れていきます。さらに、熊澤酒造が提供する試飲イベントや見学ツアーを通じて、湘南の魅力を存分に楽しむ方法をご紹介します。

湘南で最後の蔵元「熊澤酒造」のクラフトビール

グラスに継がれた琥珀色のビールが2杯、並んでテーブルに置かれている様子。

熊澤酒造は、湘南ならではの風土を活かした独自の製法で、一杯一杯丹精込めてビールづくりに取り組んでいます。家族経営という温かみあふれる環境で育まれた6代目が継ぐ情熱は、彼らのビールに心温まるストーリーを添えています。

こだわり抜かれた素材と熟練の技術が融合したクラフトビールは、多くのビール愛好家たちから絶大な支持を受けています。

クラフトビール愛好家の皆さん、湘南の旅行者の方々、ぜひ熊澤酒造の素晴らしいクラフトビールの世界へ足を運んでみてください。

酒蔵の概念を覆すおしゃれで斬新な熊澤酒造

三つの大きな酒樽が白壁の建物の屋外に並んでいる様子
kimtoruさんによる写真ACからの写真

酒蔵と聞くと何を思い浮かべますか?

樽が所狭しと並んでいたり、荘厳な雰囲気の中で厳しい表情の職人さんが一生懸命働かれていたり。実際酒蔵見学といっても、なんとなく若輩者には敷居が高く感じてしまうのは筆者だけでしょうか。

しかし、先日クラフトビールの記事でもご紹介した、湘南ビールを醸造している「熊澤酒造」はそんな今までの酒蔵へのイメージがガラッと変わる、斬新かつおしゃれで親近感溢れる空間なのです。

熊澤酒造の危機を救った6代目の行動力

広い麦畑に男性が一人ぽつんと立ち、青からピンク色へと変わる空を眺めながら物思いにふけっている様子

明治5年(1872年)に創業し、約150年間日本酒をつくり続けてきた熊澤酒造。長年湘南の地で築いてきた酒造りの文化がバブルの崩壊とともに傾き始めていた頃。

当時の社長であった叔父から「このままでは廃業しなくてはいけないかもしれない」という話をアメリカ留学中に聞き、どうにかこの状況を立て直せないものかと代表を継いだのが6代目の熊澤茂吉氏でした。

茂吉氏は留学中に出会ったアメリカで日本酒を販売し成功した人物にも「造り酒屋の将来性はない!」と断言され、「そんなことない!」という想いが今まで興味を持てなかった家業に対してふつふつと湧いてきたそうです。

本当に美味しい日本酒をつくる!熊澤酒造の挑戦

薄暗いいくつかの明かりが灯った酒蔵の様子
ひえとぉさんによる写真ACからの写真

今まで他の酒造と同様、「三倍増醸清酒」と呼ばれる安価な日本酒を販売していた熊澤酒造。そこで、まずは「本当に美味しい!!」と思える日本酒づくりから着手することを決断したのでした。

しかし、そう簡単にはいかない美味しい酒造り。向こう5年を見据えながら、茂吉氏は東京農大で酒造りを学んだ学生たちを集いました。

そして学生たちに信頼のおける杜氏(酒造の最高責任者であり、日本酒の醸造工程を行う職人集団のこと)から酒造りを徹底的に仕込んでもらう計画を進めていったのです。

クラフトビール「湘南ビール」の誕生

夜景をバックにクラフトビールの瓶が一本佇んでいる様子

そしてその計画を進める間、もう一つ熊澤酒造の立て直しとして考えたのがクラフトビールの醸造です。今まで熊澤酒造では、出稼ぎ杜氏が冬場だけ日本酒を造っていたため夏は閑散としていました。その夏の時期も生かせるのが「クラフトビール」だったのです。

茂吉氏はただビールを造るのではなく、湘南の地に根付いていく美味しいビールを造るということを念頭に本場ドイツからビールマイスターを招き、醸造技術を学び「湘南ビール」を完成させました。

ビール造りがスタートし、今では熊澤酒造の代表格であるクラフトビール「湘南ビール」が発売されたのが1996年。

酒税法が改正された二年後で、世の中がクラフトビールの第一次ブームで湧いているちょうどその時でした。

研究と努力の結晶「天青」の誕生

その後2000年にはついに長年の研究と努力が実り、トップレベルの酒米を使用した日本酒「天青」が完成します。

しかし、お酒の業界では常にトップレベルの名だたるお酒が王座に君臨し、新参者はなかなか受け入れられないのが現実です。

ワイナリースタイルから学んだ地域に根ざした酒造ビジネス

青い空の下に広がるウィーンの石造りの美しい街並み

茂吉氏は流通で勝負できない環境だからこそ気軽に足を運んでもらい、まずは地元の人から楽しんでもらえる酒造にしていくということを目標とし、それらを実現するためにウィーンのワイナリーからヒントを得ることにしました。

オーストリアのワインは良質で味わい深いにもかかわらず、フランス・イタリア・ドイツなどワイン大国に隣接しているため、あまり名が知られていないのが現状です。

そこでウィーンの人々は、出来立てのワインを美味しい料理とともにワイナリーで楽しんでもらうというスタイルを確立し、地元や観光客の方々から絶大な人気を得ているのです。

「熊澤酒造流」レストラン併設のワイナリースタイル

テーブルの上に青や透明のワイングラスと装飾の緑が飾られたガーデンパーティーの様子

茂吉氏がオーストリアウィーンのワイナリースタイルで始めた、酒造に併設するレストランは結果的に熊澤酒造を全国に知ってもらう大きなきっかけとなりました。

酒造で作られたばかりのお酒と、そのお酒に合う料理を楽しむために人々はこぞって熊澤酒造を訪れました。

地元で愛されるビール酵母を生かした熊澤酒造のパン工房

小麦色の様々な種類のパン(バゲットやカンパーニュなど)が積み上げられている写真

その後も景気の傾きや時代の変遷によりレストラン業界が窮地に立たされた際には、ビール製造工程の破棄分となってしまう栄養豊富なビール酵母をパン作りに生かすことで、新たな話題を呼びました。

美味しいパンのにおいが漂い、地元の人々も朝から集う。お酒の飲めない人でも楽しめる場所。それが酒造に併設するパン工房です。

熊澤酒造の集い生まれる新しい文化

夕日を見つめながらお酒を片手に楽しく語らう人々

よっぱらいは日本を豊かにする。」これは熊澤酒造の社是です。とてもユニークで熊澤酒造の在り方をしっかりと体現している言葉だなぁと筆者も感動しました。

かつての蔵元は、「地域の祭りごとがあるたびに自然と人々が集まり、そこに住む人々が自前の徳利(とっくり)を持参し、蔵元を訪ね宴会が始まる。」そんな場所でした。

そこで新しい文化が生まれ、今までの日本を支えてきたと言っても過言ではありません。お酒そのものだけではなく、この酒造での人々の交わりがある文化そのものが「ジャパンクオリティ」なのではないでしょうか。

そんな常に人々が集まり、賑わい、楽しく語らう「熊澤酒造」。最近では敷地内でマーケットが開かれ、時には自野菜の販売なども行われているそうです。

ぜひ一度、熊澤酒造で新しい酒造の楽しさを味わってみてください。

熊澤酒造のおすすめクラフトビール5選

熊澤酒造が手塩にかけた湘南を代表するクラフトビールをご紹介します。ビールの種類についてはこちらの記事をぜひ参考にしてください。

世界中で一番ファンが多い「湘南ビール」

まずは筆者も大好きな王道「湘南ビール」。ピルスナータイプで、他にもアルトとシュヴァルツのラインナップがあります。

世界中で一番ファンが多い下面発酵のビールで、さわやかなホップの香りを楽しめます。まず熊澤酒造でクラフトビールを選ぶなら湘南ビールからはじめてみてください。

スタイルピルスナー
アルコール度数5.0%
ゴールド

口当たりは軽く、深味のある味わい「大仏ビール」

友人からもらった際、驚くほど深い味わいに一瞬で虜になりました。

アーティストとコラボしたと言われる大仏様のラベルの中身は黒ビールのシュヴァルツです。色の濃さとは裏腹に口当たりは軽いけれど、後に残る深みのある味わいは女性にもお勧めです。

スタイルシュバルツ
アルコール度数5.0%
ブラック

フルーティーかつ苦味を感じられる「湘南ビール」

江の島のきれいな夕日を見たことがありますか?デートスポットとしても有名な江の島の美しい赤い夕日をイメージした赤褐色のクラフトビールがこの「江の島ビール」です。

南国を思わせる可愛いラベルと伝統的な上面発酵のアルトビール。フルーティーでありながらホップの苦みを感じられる大人の一本です。

スタイルアルト
アルコール度数5.0%
アンバー

アロマ香るさっぱりとした味わい「妻ビール」

アメリカ発祥のゴールデンエールスタイルで、黄金色の馴染みのある色に柑橘系のアロマが香るさっぱりした味わいです。

こちらのラベルもアートラベルシリーズで限定販売です。(ほかにも夏季限定の大磯クラシックなどがあります)

一度見たら忘れられないラベルは、大磯妻と呼ばれる大磯市で人気を集める人形がモチーフになっているとか。

スタイルゴールデンエール
アルコール度数5.0%
ゴールド

クラフトビール好きがうなる「IPA」

ビール通は絶対にはまるIPA(インディア・ペールエール)熊澤酒造がIPAを突き詰めて開発した渾身の一本です。

ホップがこれでもかと詰まった柑橘の華やかな香りとともに病みつきになる苦みは、クラフトビールにはまった人にはぜひ試していただきたい味わいです。

スタイルインディア ペール エール
アルコール度数6.0%
カッパー

熊澤酒造のクラフトビール・パンが味わえるお店

最後に熊澤酒造が手掛けるクラフトビールやパンが味わえるお店をご紹介します。酒造まで足を運ぶのが難しい方は、こちらでぜひ美味しいクラフトビールや酵母生かした味わい深いパンを楽しんでみてください。

美味しいクラフトビールと料理に舌鼓「MOKICHI CRAFT BEER」

藤沢駅から歩いて数分のところにあるレトロで落ち着いた雰囲気のビアパブです。

熊澤酒造オリジナルビールを楽しめるだけでなく、おつまみメニューや焼き立てのピザなど、どんな食欲も満たしてくれる美味しい料理が盛りだくさんです。

湘南まではなかなか行けないけれど...という方にはぜひ訪れてほしいお店です。

公式サイト:MOKICHI CRAFT BEER
住所:神奈川県藤沢市南藤沢20-19 第2ハルミビル1F
TEL:0466-90-3590
営業時間:11:30~14:30(L.O) 15:00(close) / 17:00〜21:30(L.O) 22:00(close)
定休日 :毎週火曜日および12月31日・1月1日(GW・お盆期間は無休)

レストラン&併設カフェでパンも楽しめる「MOKICHI FOODS GARDEN」

こちらは茅ヶ崎駅から徒歩5分。戦前から続いていた木造の精麦工場をそのまま再利用した空間で飲むビールと食事は最高です。

隣には前述したビール酵母を使ったパンを販売するmokichi baker & sweets 茅ヶ崎店もあるので、パンをお土産に買って帰るのもおすすめです。

公式サイト:MOKICHI FOODS GARDEN
住所:神奈川県茅ヶ崎市元町13-1
TEL:050-1807-5896
営業時間:【ランチ】11:30~15:30(L.O.14:30)
     【ディナー】17:30~22:00(L.O.21:00)

湘南の「熊澤酒造」でクラフトビールを楽しもう

湘南ビールの緑の瓶と、櫛に刺さったソーセージが並んでいる写真
筆者撮影

湘南は、美しい浜辺やサーフィンを楽しむだけではなく、クラフトビールも隠れた魅力のひとつです。

熊澤酒造は、湘南を代表するクラフトビールを製造する蔵元で、ビールの試飲や蔵の見学ができるイベントも開催しており、地元や湘南に訪れる人々が集い、楽しめる場所となっています。

湘南を訪れた際には、心地よい海風を感じながら、この地元に根ざしたクラフトビールをぜひ楽しんでみてください。

公式サイト:熊澤酒造
住所 :神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7
TEL :0467-52-6118(本部)

筆者:Honami

クラフトビールの楽しみ方や知識に関するおすすめ記事

海に綺麗な夕日が沈みあたり一面はオレンジ色の光に包まれていて、幻想的な雰囲気。瓶ビールをお互いに重ね合わせて夕日に乾杯している手が2本両サイドから出ている。
樽の上にジョッキに入ったビールとホップと麦が飾ってある写真
中心に茶色の背景に白字で常陸野ネストビールの文字。左は酒造の入り口。右は瓶に入った湘常陸野ネストビールが置かれている。
中心に水色の背景に白字で富士桜高原麦酒の文字。左は青空と白い雲の中に溶け込む富士山。右はゴールドの背景にビールが注がれている様子。

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