古の宗教行事を今に伝える歴史が息づく寺院

松尾寺は、青葉山の中腹に佇む真言宗醍醐派の寺院で、山号を青葉山と称し、本尊は馬頭観音菩薩。西国三十三所の第29番札所としても知られ、多くの巡礼者が訪れます。

この歴史ある寺院は、国宝である普賢延命像(絵画)や快慶作の阿弥陀如来坐像など、貴重な文化財を多数収蔵しています。春と秋の各2ヶ月間は、これらの宝物が境内の宝物殿で展示されます。

また、松尾寺はその歴史と自然の美しさだけでなく、伝統的な宗教行事「仏舞」でも知られています。この仏舞は、毎年5月8日に開催される国の重要無形民俗文化財に指定された儀式で、約600年前の江戸時代初期には既に舞われていた記録が残っています。

仏舞は、大日如来、釈迦如来、阿弥陀如来の三尊の面を着けた舞人が、雅楽の太鼓や笛の演奏に合わせて優雅に舞うものです。奈良時代に唐から伝えられたとされ、もともとは大寺院で行われていたものが地方へと伝播していったと言われています。松尾寺での仏舞は、釈迦の生誕を祝う「卯月八日(花祭り)」の法要において奉納されます。