日本最大級!海に浮かぶ神秘の木造鳥居

宮島の「大鳥居」は、日本三景の一つとして知られる厳島神社の象徴的な存在です。この大鳥居は、海上にそびえ立つその壮大な姿で訪れる人々を魅了します。高さ約16.6メートル、幅約24.2メートルのこの鳥居は、木造の鳥居としては日本最大級であり、国の重要文化財に指定されています。

現在の大鳥居は、平安時代から数えて9代目にあたり、明治8年(1875年)に再建されました。その構造は、左右2本の主柱を前後の袖柱が支える「両部鳥居」と呼ばれる形式で、主柱は耐久性や耐水性に優れたクスノキが使用されています。袖柱には杉が使われており、全体の安定性を高めるために工夫が凝らされています。

大鳥居の根元は海底に深く埋められているわけではなく、その重みだけで立っています。台風や地震にも耐えうるこの構造は、鳥居上部の島木に詰められた約4トンの小石が重しとなり、安定性を保っています。また、柱の根元には松の丸太が打ち込まれており、これが地盤を強化する役割を果たしています。この技術は「千本杭」と呼ばれ、先人たちの知恵が詰まっています。

大鳥居には、東側に太陽、西側に月が描かれており、陰陽道の影響が見られます。この装飾は、風水的な意味合いも持ち、太陽は鬼門封じの役割を果たしているとされています。

また、大鳥居に掲げられている扁額には、沖側に「嚴嶋神社」、御本社側には「伊都岐嶋神社」と記されています。この扁額は、有栖川宮家の9代目当主である有栖川熾仁親王によって書かれたもので、その美しい筆跡は訪れる人々の目を引きます。

大鳥居は、満潮時には海に浮かぶように見え、干潮時には歩いて近くまで行くことができます。この変化する景観は、訪れるたびに異なる表情を見せ、何度訪れても新鮮な感動を与えてくれます。特に夕暮れ時には、赤く染まる空と大鳥居が織りなす幻想的な風景が広がり、写真愛好家や観光客にとって絶好の撮影スポットとなっています。