阿育大王の伝説に触れる日本最古の三重石塔

石塔寺は、天台宗の古刹で聖徳太子によって開基されたと伝えられています。山号は阿育王山(あしょかおうざん)で、本尊は秘仏の聖観音です。境内には、阿育王塔と呼ばれる石造三重塔を中心に、数万基の石塔や石仏が並び、独特の雰囲気を醸し出しています。

石塔寺の最大の見どころは、奈良時代前期に作られたとされる三重石塔です。この三重石塔は、日本最古・最大のものであり、国の重要文化財に指定されています。塔の屋根は緩やかに膨らんでおり、塔身は縦長で、一番下の塔身は二枚石を合わせて上部の安定を図っています。また、三重塔の東側には五輪塔が2基、その横には宝塔があり、これらも国の重要文化財に指定されています。

石塔寺の歴史は、釈迦入滅後100年、阿育大王(あしょかだいおう)がインドを治めた際に仏法の興隆を願って8万4千の塔婆を造り、それに仏舎利を納めて三千世界に撒布したという伝説に由来します。平安時代、唐に留学した寂照(じゃくしょう)が近江国にもその一つが埋まっていると聞き、日本へ向けた手紙を木箱に納めて海中に投じました。3年後、この箱が明石浦に漂着し、掘り当てた塔がこの阿育王塔であるといわれています。

毎年8月末には「石塔フェスティバル(石塔寺万燈祭)」が開催され、石塔や石仏に献灯が行われます。この祭りは、訪れる人々に幻想的な光景を楽しませるとともに、古くからの信仰と歴史を感じさせるイベントです。

また、石塔寺は、近江西国三十三箇所第22番札所としても知られており、多くの参拝者が訪れます。