古墳文化の魅力を余すところなく伝える博物館

大阪府立近つ飛鳥博物館は、「近つ飛鳥風土記の丘」に建てられ博物館で、ここでは日本の古代国家の形成過程や国際交流の歴史を探ることができます。

博物館の名称に含まれる「近つ飛鳥」は、古代日本の地名に由来しています。この名称は、『古事記』に記載されている履中天皇の弟、後の反正天皇が難波から大和の石上神宮に向かう途中で二泊した際に、その地を「近つ飛鳥」と名付けたことに始まります。

博物館の設計は、世界的建築家・安藤忠雄氏によるもので、展示室は前方後円墳の形を模しており、展示品と一体感を持ったデザインが特徴です。展示は大きく三つのゾーンに分かれており、それぞれが異なるテーマを持っています。

まず、「近つ飛鳥と国際交流ゾーン」では、古墳時代から飛鳥時代にかけての歴史を紹介しています。ここでは、一須賀古墳群から出土した剣や刀、金具、耳飾り、指輪など、多数の貴重な遺物を見ることができます。これらの展示物は、当時の国際交流の様子を物語っています。

次に、「古代国家の源流ゾーン」では、堅穴式石室や横穴式石室などが実物大で再現されており、古墳の内部構造や築造技術を詳しく学ぶことができます。また、再現された大仙陵古墳の模型も展示されており、古墳の壮大さを実感することができます。

最後に、「現代科学と文化遺産ゾーン」では、1978年に古市古墳群の三ツ塚古墳から出土した修羅とテコ棒をはじめ、水中遺跡の調査や地中レーダー探査、X線撮影など、文化遺産の発掘に使用されるさまざまな技術について説明しています。これにより、現代の科学技術がどのようにして過去の遺産を解明するのに役立っているかを理解することができます。

また、博物館では定期的に学芸員による案内・解説が行われ、周辺の文化財見学も実施されています。これにより、野外の文化遺産と博物館の展示が一体となり、より深い理解を得ることができます。さらに、講座や講演、イベントなども頻繁に開催されており、訪れるたびに新たな発見があります。