歴史と伝説が息づく室町時代後期の建造物

長谷寺は、奈良時代に法道上人によって開かれたとされる古刹で、室町時代後期に再建され、現在もその美しい姿を保っています。本堂内の厨子は国の重要文化財に指定されており、山陰地方における数少ない室町時代後期の建造物の一つです。

長谷寺の本尊である十一面観世音は、室町時代前後のものとされ、多くの参拝者に親しまれています。また、長谷寺は「絵馬の寺」としても知られており、大小約50点の絵馬が奉納されています。これらの絵馬は、室町時代から明治時代にかけての風俗や庶民の信仰を描いており、歴史的価値が高いものばかりです。

特に有名なのは、昭和32年(1975年)に県の保護文化財に指定された「抜け馬伝説」にまつわる白馬の絵馬です。この絵馬は、巨勢金岡が描いたとされ、夜な夜な絵から抜け出して暴れ回ったという伝説があります。

長谷寺では、毎年2月に「牛玉授け」という行事が行われます。この行事では、商売繁盛や五穀豊穣、家内安全を祈願して、参拝客が福木を奪い合います。また、牛玉授けの翌朝には「観音市」として親しまれる市が立ち、参拝客で賑わいます。