黄金の稲穂に囲まれた神秘の神社

宇受賀命神社は、創建は842年以前とされ、1000年以上の歴史を持つ由緒正しい神社です。平安時代に編纂された延喜式神名帳にも記載されており、出雲大社と同じく「名神大社」に格付けされています。この神社は、五穀豊穣、海上安全、安産のご利益があるとされ、地元の人々から深く信仰されています。

宇受賀命神社は、田んぼに囲まれた静かな場所に佇んでいます。参道は稲穂が揺れる田んぼの中を通り、秋には黄金色に輝く風景が広がります。参道を進むと、白い鳥居が迎えてくれ、その先には手水舎や拝殿が見えます。拝殿の背後には、隠岐造という独特の建築様式で建てられた本殿があります。現存する本殿は大正6年(1917年)に火災で焼失したためその後再建されたものです。

また、この神社では皇室祭祀の一つである1月1日の歳旦祭の際、大漁祈願の「あご石神事」が行われています。これはアゴ(飛魚)に見立てた小さな石を本殿より海岸方向に向かって投げる神事で、大漁と五穀豊穣を願う伝統的な祭りとして続けられています。

宇受賀命神社は、隠岐諸島の他の神社とも深い関わりがあります。例えば、西ノ島の比奈麻治比賣命神社(ひなまじひめみことじんじゃ)との間には、主祭神ウツカミコトがヒナマジヒメミコトと結ばれたという伝説が残されています。また、その御子神である柳井姫(ヤナイヒメ)は、中ノ島の奈伎良比賣神社(なぎらひめじんじゃ)の主祭神として祀られています。