数多くの奇岩がそそり立つ「山陰の耶馬渓」
立久恵峡は、出雲市の南部に位置する神戸川上流に広がる美しい峡谷です。この渓谷は、約2キロメートルにわたって続く奇岩や断崖が特徴で、その壮大な景観から「山陰の耶馬渓」とも称されています。立久恵峡は、1927年に国の名勝および天然記念物に指定され、1964年には県立自然公園となりました。
立久恵峡の魅力は、その独特な地形と四季折々の美しい風景にあります。春には山桜が咲き誇り、夏には深緑の中で森林浴を楽しむことができます。秋には紅葉が峡谷を彩り、冬には雪化粧をした幻想的な景色が広がります。訪れるたびに異なる表情を見せる立久恵峡は、四季を通じて多くの観光客を魅了しています。
渓谷内には、屏風岩、天狗岩、神亀岩、天柱峯、袈裟掛岩、烏帽子岩、猿岩、ろうそく岩など、数多くの名所があります。これらの奇岩は、長い年月をかけて風化と浸食によって形成されたもので、その形状や配置はまるで自然が作り出した芸術作品のようです。また、立久恵山霊光寺周辺には、五百羅漢像が彫られており、その数は1000体を超えるとも言われています。
立久恵峡を訪れる際には、遊歩道を散策するのがおすすめです。渓谷沿いには展望台や遊歩道が整備されており、自然の中をゆっくりと歩きながら、奇岩や渓谷の美しい景観を楽しむことができます。遊歩道は約1時間で一周できるコースとなっており、途中には霊光寺や五百羅漢像などの見どころも点在しています。
さらに、立久恵峡には温泉も湧き出ており、リュウマチや神経痛などに効能があるとされています。渓谷沿いに建つ旅館や温泉施設では、露天風呂から美しい景色を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。温泉に浸かった後は、地元の山菜や名物の鮎料理など、出雲の味覚を堪能するのも一興です。