「蔵のまち」喜多方を象徴する歴史的建造物

旧甲斐家蔵住宅は、福島県喜多方市に位置する大正時代の蔵屋敷で、国の登録有形文化財に指定されています。この歴史的建造物は、喜多方市の「蔵のまち」を象徴する存在であり、観光客にとって必見のスポットです。

旧甲斐家蔵住宅は、大正6年(1917年)から大正12年(1923年)にかけて建設されました。建物は、黒漆喰で塗られた外壁が特徴で、その重厚な外観は訪れる人々を圧倒します。内部には、51畳の広さを誇る蔵座敷があり、金粉を使用した壁や、節なしの檜や黒檀などの銘木を用いた柱が見どころです。

この蔵座敷は、上段の間と下段の間から成り、書院や床の間が配置されています。特に、中央の欄間は1枚の檜板を数ミリ幅の細い桟にくり抜いた「筬欄間(おさらんま)」と呼ばれる技巧が施されており、その精緻さは一見の価値があります。

また、旧甲斐家蔵住宅には、店蔵や醤油蔵も併設されています。店蔵の中央には、ケヤキの大木を削って造られた吊階段があり、その独特の意匠は訪れる人々を魅了します。さらに、醤油蔵の煉瓦煙突は「喜多方市の赤煉瓦製造関連遺産と建造物」の一部として、経済産業省の喜多方市の近代化産業遺産としても認定されており、歴史的価値が高いです。

※ 旧甲斐家蔵住宅は、令和5年度より保存修理工事を行う予定のため当面の間休館します。全面公開は令和12年度の予定です。