室町時代の美しい建築と自然が調和した心安らぐ聖地

円満寺観音堂は、創建は延元元年(1336年)に遡る歴史ある観音堂で、芦名盛員の後室である藤原氏が、盛員と嫡男高盛の菩提を弔うために建立したと伝えられています。その後、丸山城主山内政家の家臣である田崎隼人が、貞和2年(1346年)に沼沢から出ケ原村に移し、観音堂の別当としましたが、寺の衰退と共に本堂などの堂宇は廃れました。しかし、観音堂は篤い信仰により永く守られ、天正7年(1579年)に修復され、慶長16年(1611年)の会津地震では倒壊したものの、翌年に再建されました。

円満寺観音堂は、室町末期の貴重な仏堂建築として、昭和38年(1963年)に国の重要文化財に指定されています。観音堂の建築様式は、入母屋造・茅葺屋根で、背の低い回縁を設けた唐様建築が特徴です。室町期の特色をよく示しており、その美しい姿は訪れる人々を魅了します。

観音堂の本尊は聖観世音菩薩で、「子守り観音」として信仰を集めています。観音堂の外側からの見学はいつでも可能で、毎年4月17日には御開扉が行われ、多くの参拝者が訪れます。また、観音堂の周辺には美しい自然が広がり、四季折々の風景を楽しむことができます。春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が美しく彩ります。