壮麗な彫刻と絵模様が織りなす神秘の空間

涼ヶ岡八幡神社は、建武年間(1334〜1336年)に創立された歴史ある神社で、元禄8年(1695年)に相馬中村藩の五代藩主、相馬昌胤公によって現在の社殿が建立され、境内が整備されました。

この神社は、江戸中期の「装飾型神社建築」の先駆けとされ、多彩な絵模様や彫刻が施された壮麗な建物が特徴です。特に、本殿内陣の天井には鳳凰と龍の絵が描かれており、その美しさは訪れる人々を魅了します。また、境内には国の重要文化財に指定されている随神門や拝殿、幣殿、本殿があり、歴史的価値が高い建造物が数多く存在します。

涼ヶ岡八幡神社は、相馬中村藩の鎮守社としても知られ、代々の藩主によって崇敬されてきました。特に、元禄8年に建立された現社殿は、総ケヤキ材を用いて造営され、近郷でも群を抜く壮美なものであったため「相馬日光」と称されました。このような歴史的背景から、神社は地域の文化財としても重要な役割を果たしています。

境内には、若宮八幡宮や亀齢社、住吉神社、粟島神社、貴布根神社などの境内社も点在しており、それぞれが独自の歴史と信仰を持っています。例えば、若宮八幡宮は大同年間に創立され、涼ヶ岡八幡神社創建前からこの地に鎮座していた祠であり、亀齢社は相馬中村藩第8代藩主の相馬恕胤を祭神としています。

また、境内には「矢旗塚」や「縁結びの榧(カヤ)」「夫婦杉」などの見どころも多く、特に、縁結びの榧は2本の榧が幹の途中でつながっている珍しい木で、縁結びのご利益があるとされています。

涼ヶ岡八幡神社では、毎年4月20日に春祭り、9月第3金・土曜日に例大祭が行われ、多くの参拝者で賑わいます。特に例大祭では、いもずいも(芋吸物)の振る舞いや神楽の奉納などの伝統的な行事が行われ、地域の人々にとって重要なイベントとなっています。