「氷河期の生き残り」ナキウサギとの出会い

学術自然保護地区「春日の風穴」は、春日の中山道有林内にあり、市街地から南西へ約16キロメートルの位置に広がっています。常呂川と仁居常呂川に挟まれた溶岩台地に形成された中山の南斜面に広がる森林には、氷河期の遺存種といわれるナキウサギが生息しています。

春日の風穴は、斜面に重なり合った岩石のすき間から空気が入り込み、岩石の間で冷やされて下方の穴から吹き出ることで独特の植生が広がっています。この風穴植生は、厚いマット状に発達したコケ類が覆い、その上に針葉樹林が成立し、林床にはミヤマハンショウヅル等の亜高山から高山性の植物が生息しています。

この地域の森林はトドマツ、アカエゾマツにイタヤカエデなどが混在する針広混交林を主体とし、一部にはアカエゾマツの群落も見られます。ナキウサギの良好な生息環境が維持されていることから、学術的な価値が高く、保護地区に指定されています。

春日の風穴は、四季折々の風景を楽しむことができる場所であり、特に、緑が美しい苔庭や広範囲にわたる岩石堆積地は写真愛好家にも人気があります。

訪れる際には、自然保護のためにいくつかの注意点があります。
まず、入林する場合は、オホーツク総合振興局東部森林室に届け出が必要です。そして、クマの生息地であるためクマ避け対策を心がけることが重要です。また、自然環境を守るために、動植物を持ち帰らないこと、ゴミは必ず持ち帰ること、火気厳禁であることを守りましょう。