江戸時代の面影を今に伝える

肥前浜宿(ひぜんはましゅく)は、佐賀県鹿島市にある、江戸時代の宿場町の面影を色濃く残す地区です。白壁の土蔵や商家、茅葺屋根の民家などが立ち並び、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。2006年には重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、その歴史的な景観は高く評価されています。

肥前浜宿は、江戸時代には多良海道の宿場町として栄え、物資の集散地として重要な役割を果たしていました。特に、有明海に面した港町として、海運業や漁業が盛んであり、多くの商人や船乗りが行き交い、活気に満ち溢れていました。また、良質な水と米に恵まれたことから、酒造りが盛んになり、現在でも複数の酒蔵が残っています。

肥前浜宿の大きな特徴は、浜川を挟んで南北で異なる景観を楽しめることです。北側、特に「酒蔵通り」と呼ばれるエリアには、白壁の土蔵造りの町家や酒蔵が建ち並びます。これらの建物は、かつての繁栄を物語っており、重厚な雰囲気を醸し出しています。一方、南側には茅葺屋根の民家が点在し、漁師町としての風情を残しています。特に、3棟並んだ茅葺屋根の民家は、写真撮影スポットとしても人気です。

肥前浜宿では、酒蔵見学や地酒の試飲を楽しむことができます。鹿島の日本酒は濃醇で甘口と言われ、国内外で高い評価を得ています。また、近年では古い建物を活用した飲食店やゲストハウスなどもオープンし、新たな魅力も加わっています。