新義真言宗の開祖生誕の地

誕生院(たんじょういん)は、真言宗の中興の祖であり、新義真言宗の開祖である興教大師覚鑁(こうぎょうだいしかくばん)が生誕した地に建立された寺院です。密厳山(みつごんざん)という山号を持ち、本尊は錐鑽身代不動明王(きりもみみがわりふどうみょうおう)です。
興教大師は平安時代後期の僧で、真言宗の改革に尽力し、現在の新義真言宗の基礎を築きました。室町幕府3代将軍・足利義満の発願により、応永12年(1405年)に定成によって創建されたと伝えられています。
しかし、戦国時代の永禄元年(1558年)に兵火によって焼失し、その後長い間荒廃した状態が続きました。江戸時代には鹿島藩の藩祖である鍋島直茂もこの地を訪れ、復興を願ったと言われています。そして、大正2年(1913年)になって、ようやく13代藩主の鍋島直彬(なおよし)と地元有志の尽力によって復興が実現しました。
誕生院は安産や子授け祈願の聖地として知られており、多くの参拝客が訪れます。境内には自然が豊かで、桜やツツジ、藤など四季折々の花が咲き誇り、訪れる人々の心を和ませます。また、九州八十八ヶ所霊場と九州三十六ヶ所不動霊場にもなっており、巡礼の地としても重要な役割を果たしています。
境内には、本堂の他に、大師堂や鐘楼などがあり、静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。また、誕生院会館の正覚庵では、名物のごま豆腐やヘルシーな料理を楽しむこともできます。