時の流れが刻まれた石畳

臼杵市の中心部に位置する二王座歴史の道は、江戸時代の城下町の面影を色濃く残す、風情あふれる通りです。阿蘇山の火山灰が堆積してできた凝灰岩の丘陵地を切り開いて造られたこの道は、しっとりとした石畳と白壁の土蔵、重厚な門構えの武家屋敷跡などが織りなす景観が特徴で、まるで時代劇のセットの中に迷い込んだかのような感覚を味わえます。
二王座という地名は、かつてこの地に二王像を安置する寺院があったことに由来するとされています。道の両側には、高い石垣が築かれ、その上に白壁の土蔵や武家屋敷が建ち並び、往時の武士や商人たちの暮らしを偲ばせます。特に、旧真光寺の前を通る「切り通し」と呼ばれる場所は、凝灰岩を削って造られた独特の景観で、臼杵を代表する風景の一つとして知られています。平成5年には「日本の道100選」にも選定されており、その美しい景観は高く評価されています。
この通りを歩くと、石畳の感触や白壁の質感、木造家屋の温もりなど、五感を通して歴史を感じることができます。雨の日には、石畳がしっとりと濡れて黒光りし、普段とは違った幻想的な雰囲気を楽しむことができます。また、かつて廃寺だった旧真光寺は、現在は無料の休憩所として開放されており、2階からは二王座の街並みを一望できます。散策の途中に立ち寄り、ゆっくりと景色を眺めるのもおすすめです。