心に響く調べの源流

吉丸一昌記念館(早春賦の館)は、臼杵が生んだ偉大な国文学者・作詞家、吉丸一昌(よしまるかずまさ)の功績を称え、その生涯と作品を紹介する施設です。明治6年(1873年)に臼杵で生まれた吉丸は、43歳という若さでこの世を去るまで、国文学の研究に情熱を注ぎ、数多くの唱歌や童謡の作詞を手がけました。特に、文部省唱歌「早春賦(そうしゅんふ)」は、世代を超えて歌い継がれる名曲として、広く知られています。

記念館は、吉丸の妻・ユキ夫人の実家であった由緒ある日本家屋を利用しており、明治時代の面影を色濃く残しています。館内には、吉丸の遺品や楽譜、著作などが展示されており、彼の生涯と業績を深く知ることができます。例えば、東京音楽学校の生徒による「浦のあけくれ」のSPレコードなど、貴重な資料も所蔵されています。また、吉丸が作詞した歌が収録されたCDも販売されており、その美しい旋律に触れることができます。

吉丸は、国学者、教育者としても活躍しましたが、音楽家としての活動は、唱歌の成立やその後の日本の童謡などに多大な影響を与えました。彼の作品は、日本の美しい四季や故郷への想いを繊細な言葉で表現しており、多くの人々の心に深く刻まれています。記念館を訪れることで、彼の作品が生まれた背景や、その時代背景を感じ取ることができるでしょう。