時を超えて今に息づく武士の魂

松岡城址はかつてこの地を治めた松岡氏の居城であり、戦国時代の息吹を今に伝える貴重な史跡です。

松岡城は、天竜川西岸の河岸段丘先端部に築かれた平山城です。標高560メートルの段丘突端に位置し、東方を望めば天竜川の流れを一望できる要害の地でした。その歴史は南北朝時代に遡り、松岡氏がこの地に拠点を構えたことに始まります。その後、戦国時代には大規模な修復が加えられ、約250年もの間、松岡氏の本拠地としてその役割を果たしました。

松岡城の特徴は、二の曲輪、三の曲輪、惣構と段階的に配置された曲輪と、それらを結ぶ堀によって構成された連郭式の縄張りにあります。特に、第一から第五までの堀が直線的に連なる様は、連郭式の典型的な例として知られています。現在でも、これらの遺構が良好な状態で残されており、中世の城郭の様子を偲ぶことができます。特に、段丘を利用した城跡としては県下でも最も保存状態が良いと言われています。

松岡城址は、歴史的な価値だけでなく、自然豊かな環境も魅力の一つです。城跡周辺は緑に囲まれ、四季折々の風景を楽しむことができます。春には桜が咲き誇り、訪れる人々を優しく迎え、秋には紅葉が城跡を彩り、歴史と自然が織りなす美しい景観を作り出します。散策路も整備されているため、ゆっくりと時間をかけて城跡を巡り、歴史のロマンに浸ることができます。