歴史と自然が織りなす神秘的な空間

大山田神社は、延喜式神名帳にも名を連ねる由緒正しき古社です。創建は平安時代初期とも奈良時代末期とも伝えられ、千年以上もの歴史を誇ります。古来より地域の鎮守として人々の信仰を集め、現在もその神聖な佇まいは訪れる者を魅了し続けています。

境内は長野県自然100選にも選ばれた豊かな社叢に覆われており、約280種類もの南限・北限の植物が生い茂り、植物学の観点からも貴重な場所として知られています。樹齢800年を超える大杉をはじめとする巨木がそびえ立ち、神社の歴史と自然の深さを感じさせてくれます。

また、大山田神社の社殿は国の重要文化財に指定されています。永正4年(1507年)に京都から招かれた工匠によって造営されたもので、繊細な彫刻や当時の様式を今に伝える建築美は必見です。特に、本殿の蟇股に施された諏訪明神ゆかりの「鷹に梶」の意匠は、この社殿がかつて諏訪明神社として建立されたことを示唆しているとも言われています。

大山田神社には、300年以上前から伝わる「ギョウド獅子舞」という神事が伝わっています。これは獅子を先頭に神職が境内を清めて回る神事で、別名「蛇踊り」とも呼ばれます。特に拝殿で行われる獅子舞は、奇妙な面をつけた神主「ヘエオイ」と獅子の掛け合いが有名で、東海地方の影響を受けた神楽獅子の系統であり、長野県下でも珍しい獅子舞として知られています。例祭の4月と10月には奉納獅子舞が執り行われ、多くの人々で賑わいます。