太古の自然崇拝を今に伝える

三重県熊野市に鎮座する花窟神社は、日本最古の神社の一つとして知られ、その歴史は「日本書紀」にも記されるほどです。この神社は、神々の母であるイザナミノミコトが火の神カグツチノミコトを産み、その命を終えた後に葬られた場所と伝えられています。
花の窟神社の最大の特徴は、高さ45mにも及ぶ巨大な岩「窟(いわや)」をご神体としている点です。通常の神社にあるような社殿はなく、太古の自然崇拝の形を今に残しており、訪れる者に荘厳な雰囲気を与えます。毎年2月2日と10月2日に行われる例大祭「御縄掛け神事」では、ご神体である巨岩から境内の松の木まで、約170mの大綱が渡される様子は、見る者を圧倒する勇壮な神事です。
花の窟神社は、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産にも登録されており、その歴史的、文化的な価値は非常に高いものです。神社周辺は豊かな自然に囲まれており、訪れる人々は、神聖な雰囲気の中で静かに過ごすことができます。